つくった人
後藤裕之|もじぴったんの辞書をつくった人
何万もの言葉を、ほぼ一人で、手で打ち込んでいった人がいます。あの辞書の向こうにいた人の話です。
なつかしさ ★★★☆☆
この記事の要点
できたことば ×5- 後藤裕之は1973年東京都生まれのゲームデザイナーで、もじぴったんの全作のゲームデザインとディレクションを手がけた
- 辞書データはほぼ一人の手作業で、本人によると手打ちで約8年かけて完成させ、完成は Wii 版の頃だった
- ゲームの着想は、中学時代にノートで作ったクロスワードにあるという
- 「ふたりのもじぴったん」の歌詞を、約30分で書いたという逸話が紹介されている
- ナムコを2010年3月末に退社し、のちに面白法人カヤックに所属して『野田ゲー』シリーズも担当した
辞書は、誰かが打ち込んでいた
「この言葉、辞書に入ってるのか」「あ、これも通るんだ」。もじぴったんを遊んでいて、驚いたことはありませんか。何万もの言葉が収められた辞書は、ひとりでに存在していたわけではありません。
言葉が通るたびに、だれかの努力を踏んでいたんだね。
もじぴったんのゲームデザインを全作で手がけたのが、後藤裕之さんです。曲の話からは少し離れますが、あの音楽の舞台をつくった人として、ここで紹介します。
後藤裕之さんのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年・出身 | 1973年、東京都 |
| 学歴 | 慶應義塾大学環境情報学部 |
| 在学中の出来事 | 1995年、円周率を42,195桁暗唱して当時の世界記録(ギネス掲載) |
| 所属 | ナムコ(バンダイナムコゲームス)。2010年3月末に退社し、のちに面白法人カヤックに所属 |
| 近年の仕事 | Switch の『野田ゲー』シリーズも担当 |
円周率の暗唱で記録を作ったほどの記憶力を持つ人が、言葉のゲームの辞書をつくった。ファミ通の記事でも、そんな豆知識として触れられています。
ゲームの出発点は中学のノート
2020年の GameBusiness.jp のインタビューで、後藤さんはゲームの着想を語っています。出発点は、中学時代の音楽の時間に、ノートでクロスワードを作っていたことだそうです。もじぴったんは、社会人になって最初に作ったゲームでした。
当初はゲームセンター向けの作品で、のちに各ハードへ広がっていきます。後藤さんは、企画が通って本当に作りたかったものを作れた、稀なケースだったとも話しています。
アーケード版の稼働は2001年12月。1プレイ100円、100面以上のステージ、回転や移動するマスなどの仕掛けが特徴でした。遊び終えたあとも、頭の中が文字でいっぱいになる。そんな感覚が、当時のゲームの記事でも紹介されています。
手打ちで約8年、辞書はこうして育った
辞書づくりについて、後藤さんは「トータル8年くらいかけて手打ちで辞書を完成させました」と語っています。完成は、Wii 版が出た頃です。初期の版は、辞書がまだ不完全だったとも話しています。
収録語数は、時期や資料によって表記が違います。
| 時期・資料 | 語数の表記 |
|---|---|
| PS2 版の発売時(GAME Watch) | 7万6500語以上 |
| ファミ通(2025年の回想) | 8万2000語以上 |
| PSP 版(2004年のインタビュー) | 約10万語 |
| アンコール | 13万語以上とされる |
数え方や、時期による増加が反映されているため、一つの数字には決めきれません。「8万語前後から10万語超、のちには13万語規模」とつかんでおくと、読みやすいでしょう。
2004年のインタビューで語っていたこと
PSP 版の大辞典の際、後藤さんは GAME Watch のインタビューに答えています。そこで紹介されているのは、難易度が5段階(幼稚園から社会人まで)に分かれていること、ジャンルを判定するデータなど、辞書にさまざまなパラメータが付いていることです。
CPU のキャラクターに個性を付けたことも語っています。たべるくんやえりこちゃんなど、対戦相手にそれぞれ性格があるわけです。
辞書については「辞書は完成することはない」と話し、辞典のデータを他の作品にも活かしたい、という展望を示しています。同じインタビューでは、プロデューサーの中村隆之さんが、前作のアンケートで対戦があまり遊ばれていなかったことから、CPU 対戦を加えたと説明しています。
「ふたりのもじぴったん」の作詞者として
後藤さんは、曲づくりにも関わっています。「ふたりのもじぴったん」は、もともとアーケード版の2人対戦用に作られた歌なしの曲でした。その曲に歌詞を付けたのが後藤さんです。神前暁さんの曲を聴いたうえで、約30分で書いたという逸話が伝えられています。
この話は二次的な資料に基づくもので、細かい経緯までは伝わっていません。ただ、ゲームをつくった人の手で歌詞が書かれたことが、歌ものとしてのもじぴったんに、独特の親しみやすさを与えたのは確かでしょう。
「じゅもんをあげるよ」の作詞も、後藤さんです。クレジットは ふたりのもじぴったん のページで整理しています。
変わっていく言葉と、変わらない遊び
後藤さんは2020年のインタビューで、将来はルールやプログラムの部分を AI が担い、人間はユーモアを担うようになるのでは、という見方も語っています。
辞書という地道な作業と、ユーモアという人間らしさ。その両方が、ひとつのゲームの中にあったのかもしれません。久しぶりにもじぴったんを遊ぶ機会があれば、言葉が通る瞬間に、手打ちで言葉を並べた誰かの姿を思い浮かべてみてください。
よくある質問
もじぴったんの辞書は誰がつくったのですか?
ゲームデザイナーの後藤裕之が、ほぼ一人で手作業でつくったとされています。本人は2020年のインタビューで、トータル8年くらいかけて手打ちで完成させたと語っています。
もじぴったんの収録語数はどれくらいですか?
時期や資料によって数え方が違います。PS2 版の発売時は7万6500語以上、2025年のファミ通は8万2000語以上と紹介しています。PSP 版は約10万語、アンコールは13万語以上とされます。
後藤裕之はどんな人ですか?
1973年東京都生まれで、慶應義塾大学環境情報学部を卒業しています。在学中の1995年に、円周率を42,195桁暗唱して当時の世界記録を作ったことでも知られています。
ふたりのもじぴったんの歌詞は誰が書きましたか?
後藤裕之です。神前暁の曲を聴いたうえで、約30分で書いたという話が伝わっています。