明日のナージャの制作裏話・小ネタ|企画の出発点と細田守
友達に話したくなる、作品の裏側の話。企画のきっかけから、声優名が伏せられていた話まで、まとめて並べます。
なつかしさ ★★★★☆
この旅の要点
- 企画は、プロデューサーの関弘美さんが27歳の企画部事務職だったころに書いたものが出発点とされる
- 主要人物の関係の設定を途中で変えたら制作が楽になった、とプロデューサー自身が語っている(内容は本文の折りたたみ)
- 怪盗黒バラの声優名は第27話まで伏せられていたとされ、フランシスと同じ斎賀みつきさんが演じている
- 細田守さんが第5話と第26話の演出に名を連ねるほか、劇中ではクラシックの名曲が使われている
企画書は、27歳の事務職が書いた
『明日のナージャ』の出発点は、東映アニメーションの関弘美プロデューサーが、27歳の企画部の事務職だったころに書いた企画だとされています。インタビューの要約によれば、その企画が日曜朝のアニメの出発点になったそうです。
公式チャンネルの「関Pが語る!製作秘話」シリーズでは、本人が企画の成り立ちを話しています。第1回は「誕生秘話」編です。
ひとつの企画から、私の旅が生まれたんですね。
途中で変わった人物設定
フランシスは白い服の貴族、キースは対照的な雰囲気の青年です。この二人の関係は、企画の当初は別の設定でした。それを変えたら、制作が楽になった、と関プロデューサーは語っています。
⚠ どう変わったのか(ネタバレ)
フランシスとキースは、当初は従兄弟という設定でした。それを双子に変えたところ、制作が楽になったそうです。
二人の声は、どちらも斎賀みつきさんが担当しています。怪盗黒バラの声優名は、第27話まで伏せられていたとされています。ふだんは一人二役になっている二人が、キャストの発表でどう受け止められたのか、想像すると楽しい話です。
くわしくは フランシスとキース のページにあります。
Googleマップのない時代の資料集め
関プロデューサーは、20世紀初頭のヨーロッパを描くため、資料集めに苦労したと話しています。まだGoogleマップのない時代で、映画を観たり、20世紀初頭の世界史年表を自分で作ったりしたそうです。
舞台は、イギリス、フランス、スイス、イタリア、スペイン、ギリシャ、エジプト、オーストリアと広がります。各地の実在の場所も出てきます。パリのガルニエ宮、ミラノのドゥオーモ、ローマのトレビの泉、バルセロナのサグラダ・ファミリアなどが、作中の舞台のモデル地として挙がっています。旅の全体像は 時代と舞台 へ。
名前と声の小ネタ
名前や声にまつわる、話したくなる小ネタを並べます。
- ナージャの名前。ブルトンの小説『ナジャ』のヒロイン名に由来するとされます。ただし、小説とは直接の関係はないとも記されています。ロシア語で「希望」を意味する言葉に通じる、という説明もあります
- 小清水亜美さん。本作がアニメデビュー作で、初主演でもありました。エンディング「けせら・せら」も歌っています
- オープニング。「ナージャ!!」は本田美奈子さんが歌っています。ナージャ役が歌うED、別の歌手が歌うOPという分担でした
- ナレーション。第1話と最終話は京田尚子さんが担当しています。京田さんは、占い師のおばば役の声も担当しています
- 一人二役。能登麻美子さんが孤児院のアレックスとフィービーを、永野愛さんがエヴァンズ先生とピーターを、それぞれ演じています
声優の岸尾大輔さんは、現在「岸尾だいすけ」名義で活動しています。一座のバイオリニスト、トーマスの声が岸尾さんです。
スタッフまわりの小ネタ
制作スタッフの話も、見直すと面白くなります。
- 細田守さんの参加。第5話と第26話の演出に名前が載っています。第12話の脚本欄にも名前がありますが、資料によって表記が分かれます。のちに『時をかける少女』『サマーウォーズ』などを監督した人です
- 洋風の変名。脚本のK・Y・グリーン、ルージュ・ドゥ・ルーン、美術デザインのカルロス・ユキなど、海外が舞台だからか洋風の変名クレジットが目立ちます
- フィリピンのスタッフ。本作から、東映アニメーションのフィリピン法人TAPのスタッフが原画に参加するようになったとされます
- 第31話のエンドカード。DVDでは権利関係の都合で、別のものに差し替えられました
スタッフの全体像は スタッフ・制作陣 にまとめています。
劇中に流れるクラシックの名曲
音楽は奥慶一さん。約100年前のヨーロッパという設定から、クラシックを基調とした音楽が求められました。録音は10時間以上、約90曲とそのバリエーションにのぼるとされ、前作『おジャ魔女どれみ』が打ち込みと生楽器中心だったのに対し、ほぼアコースティックな編成でした。
劇中では実在のクラシック曲も使われています。例として、次のような曲があげられています。
- オッフェンバック「天国と地獄」(からくり自動車の暴走)
- エルガー「威風堂々」(プレミンジャー家)
- ヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」(舞踏会)
- グラナドス「スペイン舞曲第5番」(ホセの登場)
この音楽は、2008年度のJASRAC賞 国際賞(2009年5月発表)に選ばれたとされています。音楽の話は、公式チャンネルの製作秘話 #4「音楽」編でも聞けます。
⚠ 第1話の秘密(ネタバレ)
第1話で、悪党のロッソとビアンコからナージャを救ったのは、実はキースだったと、のちに明らかになります。物語が進んでから第1話を見返すと、別の意味で見えてくる場面です。
ローズマリーの"最初の一歩"
悪役として強烈な印象を残すローズマリーは、第1話ではほぼ背景にすぎないモブとして登場したとされます。第2話で名前と台詞が与えられ、ナージャの旅立ちでいったん退場。再登場は第28話以降です。
放送当時、この登場の仕方に気づいていた人は少なかったはずです。配信で第1話を見返すと、孤児院の少女の一人が、のちの宿敵だと分かります。ローズマリーの人気は、主人公以上だという声もあります。
話したくなる、作り手の言葉
続編の構想もあった
関プロデューサーは、続編の構想にも触れています。脚本の金春智子さんは、放送後も「子どもの頃ナージャが好きだった」という女性の声を多く聞いてきたと話しています。2017年には続編小説が刊行され、2023年には朗読劇も上演されました。
もっと聞きたくなったら
製作秘話の動画は、スタッフ編、キャスト編も公式チャンネルにあります。リンクは リンク集 にまとめています。
よくある質問
明日のナージャの企画は誰がどう始めたのですか?
東映アニメーションの関弘美プロデューサーが、27歳で企画部の事務職だったころに書いた企画が出発点だとされています。関プロデューサー本人が公式チャンネルの製作秘話動画でも当時を語っています。
フランシスとキースの関係の設定は、途中で変わったのですか?
プロデューサーの話では、ある人物同士の関係の設定を当初のものから変えたことで、制作が楽になったそうです。内容は物語の核心に関わるため、本文の折りたたみで紹介しています。声はどちらも斎賀みつきさんが担当しています。
明日のナージャに有名な監督は参加していましたか?
細田守さんが、第5話と第26話の演出としてクレジットされています。細田さんはのちに『時をかける少女』などの映画を監督しました。