雨音薫(YUI)|夜に歌う少女を演じた映画初出演
夕方に目を覚まし、夜の駅前でギターを鳴らす。雨音薫という少女の一日を、役とYUIの両面から振り返ります。
なつかしさ ★★★★★
このページの要点
- 雨音薫は、色素性乾皮症(XP)のため太陽の光を浴びられない16歳の少女で、夜の駅前で歌うことが生きがい。
- 演じたYUIは、本作が映画初出演・初演技で、第30回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。
- 主題歌「Good-bye days」と挿入歌「Skyline」「It's happy line」は、YUIが作詞作曲を担当している。
- 初演技の初々しさは、レビューで「役に合っている」という声が多い。
日が沈んでから始まる一日
薫の朝は、夕方です。目を覚まし、支度をして、夜の町へ出ていく。駅前でギターを抱えて歌い、空が白みはじめる頃に家へ戻って眠ります。昼と夜が入れ替わった、静かな毎日です。
みんなが寝ている時間が、私の世界
薫は16歳。映画.comやジョルダンのあらすじでも「16歳」とされています。米リメイク版の主人公は17歳なので、そちらと混ざっている方は注意してください。
窓から見ていた少年と、歌が生きがいの毎日
薫には、毎朝の楽しみがありました。自室の窓から、海へ向かう少年を見送ること。いつしかそれが恋心に変わっていきます。その少年が藤代孝治で、人物像は 藤代孝治のページ で詳しく書いています。
歌う場所は、夜の駅前です。資料によっては公園とするものもあり、出会いの舞台の書き方は分かれています。どちらの記憶が近いでしょうか。
夜のギターの音を覚えていますか
親友の美咲と並んで歌う場面は、薫が「ふつうの女の子」でいられる時間として心に残っている人も多いはずです。美咲については 薫をとりまく人たち にまとめました。
薫の病気をどう受け止めるか
薫は色素性乾皮症(XP)という、紫外線に極端に弱い遺伝性の病気を抱えています。直射日光を避けることが暮らしの前提になる病気です。劇中の描写と実際の疾患は分けて考える必要があります。実際の経過には個人差が大きく、作品の描写が当てはまらない場合もあります。
病気そのものの説明は、難病情報センターの情報をもとに 色素性乾皮症(XP)とは にまとめています。映画を見たあとに病気へ関心を持った方は、あわせて読んでみてください。
なお、全国色素性乾皮症連絡会は、映画によって病気への関心が高まることを願うコメントを出していると伝えられています。
初めての演技で、薫になったYUI
薫を演じたのはYUIです。シンガーソングライターとして注目され始めた時期に、本作で映画に初出演し、初めての演技に挑みました。主人公がミュージシャンという設定だったため配役選びは難しく、そこでYUIが選ばれたとされています。
評価は、公開から長いあいだ、おおむね次のように語られてきました。
- 「映画初出演とは思えない」という声
- 拙さはあるが、その初々しさが薫に合っているという声
- 歌うシーンで鳥肌が立ったという声
この作品で、YUIは第30回日本アカデミー賞の新人俳優賞と、第11回日本インターネット映画大賞の新人賞を受賞しました。
歌と芝居がひとつになった役
音楽面では、主題歌「Good-bye days」、挿入歌「Skyline」「It's happy line」の作詞・作曲をYUIが担当し、映画音楽にも椎名KAY太とともにクレジットされています。薫が劇中で歌う曲を、演じる本人が書いた。物語と歌が重なって聞こえるのは、そのためかもしれません。曲の詳細は 「Good-bye days」とは へどうぞ。
撮影の思い出話も伝わっています。共演の塚本高史さんによると、出会いの場面でYUIさんは本気で突き飛ばし、リハーサルでも同じ力で演じたそうです。また、走るシーンにはドキドキしたとYUIさんが語っています。
⚠ 終盤の薫について(結末に触れます)
薫の左手は、次第に思うように動かなくなっていきます。医師は父の謙に、症状が神経から全身へ広がっていくことを告げます。それでも薫は、声が出るうちは歌うと決め、レコーディング当日に全身全霊で歌います。その後、防護服で昼の海に入る孝治を見に来て、「死ぬまで生きる」という趣旨のことを力強く語る場面があります。
やがて薫は他界し、好きだったひまわりに囲まれて見送られます。彼女の歌がラジオから流れて、物語は幕を閉じます。
あなたの中の薫は、どんな少女ですか
観た年齢によって、薫の見え方は変わります。公開当時は同世代として共感した人も、いまは娘を見守る両親の気持ちで観てしまう人もいるかもしれません。もう一度観るとき、気になるのは歌でしょうか、それとも日の出を気にする横顔でしょうか。
演者の人柄や私生活ではなく、あくまで役と作品の話として、薫という人物を思い返してみてください。登場人物の一覧 にも戻れます。
薫を思い出すための三つの入口
もう一度薫に会いたくなったとき、どこから入ると思い出しやすいでしょうか。
- 夜の駅前の弾き語り。 ギターの音と、帰り道の夜風を思い出す人が多い場面です
- 走る薫。 日の出が迫るなか、何も言わずに走り去る場面は、物語の中盤の大きな転換点でした。YUIさん自身も、走るシーンがいちばんドキドキしたと語っています
- 歌うことをあきらめかけた薫。 普通の人との違いを痛感して、恋も歌も手放そうとする場面です。そこで孝治の言葉が、もう一度彼女を歌へ向かわせます
派手などんでん返しはなく、じんわり心に残る映画だ、という感想が多い作品です。薫の一日一日を丁寧に追うことで、その余韻が生まれていたのかもしれません。
よくある質問
雨音薫はどんな人物ですか?
色素性乾皮症(XP)のため、昼の太陽の光を避けて暮らす16歳の少女です。夕方に起き、夜の駅前でギターを手に歌い、日の出とともに眠る生活を送っています。
雨音薫を演じたYUIは、この映画が初めての演技ですか?
はい。本作が映画初出演・初演技です。歌手として注目され始めた時期に主演に起用されました。
薫が劇中で歌う曲はYUIの作詞作曲ですか?
主題歌「Good-bye days」、挿入歌「Skyline」「It's happy line」はいずれもYUIの作詞・作曲です。